貿易取引の流れと関わる人々に迫る
たくさんの人が関わることで、貿易は成り立ちます。そして貿易に関わる人の動きから、貿易の流れを把握することでスムーズな貿易ができるようになります。ここでは、貿易に関わる人々とその役割について、そしてその人たちでどのように取引を進めていくのか、貿易の流れについてご説明します。
これだけ多くの人が関わっている! 貿易取引に関わる人々
貿易の流れを説明する前に、貿易取引に関わる人々についてご説明します。貿易取引の主役は、輸入者と輸出者です。ほかに貿易に関わっている重要な仕事をしている人は、その輸入者と輸出者の間にいます。
- 銀行(決済など一番大事なお金に関わる部分を担当しています)
- 運送会社(船会社や航空会社など、商品を運ぶための業者です)
- 保険会社(商品に何かあったときのために保険をかけます)
- 通関業者(通関関係の手続き代行をします)
そのほかにも、買付を代わりにやってくれる業者や貿易事務を代行している貿易代行業者、商品をチェックする税関、検疫所、貿易に関する法律を管理している経済産業省、厚生労働省、輸入者や輸出者に海外ビジネスに関する情報提供をしている日本貿易振興機構(JETRO)なども、貿易取引をスムーズに行うためには必要な人々です。
貿易取引に必要な重要項目8つ
次に、貿易取引に必要な項目について説明します。
契約成立
マーケットや市場を調査し、取引業者を探し売買契約をします。言葉や習慣、通貨すら違う国との取引はトラブルに備えて最善の策をとっておくため売買契約書には、ありとあらゆる条件を詳細に記載します。
信用状の発行
輸出者の支払についての心配を少しでも解消するために輸入者が取引する銀行に信用状を発行してもらって支払することを約束してもらいます。
船、航空積み準備
納期や運賃を決めます。輸出者は商品を用意します。
保険を掛ける
商品をリスクから守るために保険をかけます。
通関手続き
輸出に必要な送り状や放送明細書などの必要書類を準備し、通関業者に渡し、通関業者は書類をチェックし、輸出申告書を作成し、海上貨物通関処理システム(NSCCS)から税関に輸出申告します。税関は荷物を検査し、間違いなければ輸出申告書が輸出許可書となり申告者に渡されます。
船積み
船積み作業をし、完了したら輸入者に船便や受け取るために必要なB/L番号を知らせます。
受け取り
船が着いたら、輸入者は船荷証券(B/L)番号と引き換えに荷物を受け取ります。
代金決済
ほとんどの場合、船積をした後に、代金の回収をします。ただし、これは決済の方法や契約書に記載されている内容によって違いがあります。
貿易取引の流れ
大きく2つのパーツに分けて、貿易取引の流れを大まかにご説明いたします。
契約から税関の申請手続きまでの流れ
売買契約が成立→輸入者が信用状(L/C)の開設を銀行に依頼
- 銀行が信用状を発行したら、輸出地の銀行に送付
- 銀行からの信用状を、輸出者が確認し、商品の輸出手続きを通関業者に依頼
- 輸出者、輸入者が保険の申し込む
- 通関業者が税関にチェックを依頼
が、大体の契約から税関までの流れです。
税関から貨物受け取りまでの貿易取引の流れ
税関は商品や書類をチェックし、間違いがなければ輸出許可書を出す
- 通関業者に頼まれた船会社はB/Lを発行し輸出者に渡す
- 輸出者は代金を回収するため、銀行に買い取りしてもらい、代金をもらう
- その書類を輸出地の銀行が輸入地の銀行に送り、輸出地の銀行に輸入地の銀行から代金が支払われる
- 輸入地の銀行は輸入者に知らせて、輸入者は輸入地の銀行に代金を支払ってB/Lをもらう
- 輸入者は通関業者に書類を渡し、輸入手続きを依頼する
- 通関業者は輸入申告書を作成、税関に輸入申告手続きをお願いする
- 税関は書類内容や物をチェックし、輸入許可書を発行する
- 通関業者に物が引き渡され、輸入者は貨物を検品後、問題がなければ受け取る
これが受け取りまでの流れです。
貿易取引に関わる人々と大まかな流れを掴むだけでも、だいぶ貿易について明確になってきたのではないでしょうか。流れを知り、自分の位置や仕事を的確に把握することがスムーズな貿易取引には必要です。