貿易時に覚えておきたい関税率の主な種類
貿易で輸入をするにあたっては、関税を支払わなくてはいけません。関税は関税率に基づいて、それぞれの商品に決まった税率が掛かるようになっています。今回は、その関税率の種類を中心に、通関手続きについても簡単に説明します。
関税率とは一体何か?
関税には、関税率があります。関税率は、基本的に輸入する商品や原産地によって異なり、国内の産業を守るために必要な税率が、各品目によって定められています。貿易取引で輸入する際には、この関税率を理解しておく必要があります。
代表的な関税率の4つの種類について
関税率には、適用する税率の条件が定められています。代表的な関税率は、以下の4種類に分けられます。
基本税率
基本の税率です。無税の品以外、全ての商品に設定されている関税率です。
協定税率
WTO加盟国の特定商品に対する関税率です。基本税率や暫定税率よりも税率が低い場合に採用され、関税率は低くなります。
暫定税率
輸出入国で何か大きな状況の変化があった際、基本税率を修正するために、一定期間暫定的に採用される関税率です。関税暫定措置法で定められています。
特恵税率
開発途上国の産業を支援するため、これらの国からの輸入の際に課せられる、普通の税率よりも低く設定されている関税率のことです。この関税率を適用するには、原産地の証明書を提出しなくてはなりません。この証明書は、「一般特恵制度原産地証明書様式A」と呼ばれています。
しかし、原産地が明らかであると定められている場合、または課税価格の総額が20万円以下の場合には、証明書は必要ありません。
関税率の優先順位について
上記の4種類の中には、適用される関税率の優先順位があります。原則として、優先度が高い順に「特恵税率→協定税率→暫定税率→基本税率」となっています。ただし、協定税率は、暫定税率もしくは基本税率よりも税率が低い場合に限り優先され、もし協定税率の税率が暫定税率や基本税率よりも高い場合には優先されません。
また特恵税率の中にも3種類(EPA特恵税率、一般特恵税率、特別特恵税率)ほどあり、条件によって適用される税率が変わってきます。
さらに、上記に挙げた以外にも便益関税、季節関税などの関税の種類があるので、頭に入れておくといいでしょう。
通関手続きの流れについて
ではここで、関税に関わる手続きが行われる、通関について簡単に説明します。輸入された商品を国内で販売するためには、国外から輸入された商品を受け取らなくてはなりません。商品を受け取るために、税関による審査を受けて、関税や消費税を払います。この手続きのことを入通関手続きと言います。この入通関手続きが済むと、商品を国内で販売することが許されます。
申告書作成
一般的に申告書の作成は、個人でやるよりも通関士にお願いします。通関業者は輸入者から必要書類を受け取り、保税地域(関税の徴収前に、一時的に保管される場所)に商品が運ばれたら通関手続きをスタートします。関税と消費税額を申告し、輸入者は計算された税金を支払います。
申告書チェック
税関長に提出される申告書は貨物の申告、納税の申告どちらの書類も含まれています。この申告書類を元に、書類と貨物両方のチェックをします。
荷物引き取り
納税がされていることが確認され、商品にも問題が無ければ、輸入許可書が発行されます。
いかがでしたでしょうか。自分が輸入する商品には、どのような関税が掛かるのかを理解しておきましょう。貿易において、関税の知識は必須です。上記の内容を参考に、どのような関税の種類があるのかも頭に入れておきましょう。