物流の業務品質向上のために取り組むべきこととは?
物流は、世の中の経済活動を支える大動脈ともいえる大切な存在です。しかし、その一方で、トラックドライバーを中心とした人手不足に伴う人件費高騰といった深刻な問題を解決すべく、徹底的なコストダウンの取り組みを行う物流会社は少なくありません。こうした逆境のなかで、物流業務の品質を維持、向上させていくためにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは、その具体的な取り組みについて詳しく説明していきます。
品質向上のために管理すべき基本項目
業務品質を向上させるためには、社員や現場スタッフへの教育や業務のシステム化、トラブルやクレーム案件の共有と防止策の検討などを実施することはもちろんですが、それ以外にも「全体的な物流精度」、「品揃えの状況」、「物流センターの出荷精度」、「受注精度」、「配送精度」といった業務そのもののチェック体制を強化することも不可欠です。では、具体的にどのような点を評価すればよいのでしょうか。下記に代表的な評価指標をまとめましたのでご確認ください。
■全体的な物流精度を評価する指標
在庫差異率
コンピューター上の商品在庫や金額と実地棚卸との差異の割合。
■品揃えの状況を評価する指標
ヒット率
在庫として商品が揃っているものの割合。
品切れ率
在庫として保管している商品のうち、出荷当日に在庫がなくなったものの割合。
■物流センターの出荷精度を評価する指標
誤出庫率
品違い、数量間違い、出荷漏れなど、出荷検品の際にミスが発見された割合。
誤出荷率
品違い、数量間違い、出荷漏れなど、顧客からのクレームや納品検品の際にミスが発見された割合。
■受注精度を評価する指標
誤受注率
出荷の際に顧客の注文を間違って手配してしまった商品の割合。
■配送精度を評価する指標
誤配送率
納品先を間違えて配送してしまった件数の割合。
遅納率
約束の時間よりも大幅に前後して納品してしまった件数の割合。
事故件数
配送中の荷崩れや落下などによる商品事故の件数。
各業務を評価する際は、上記の指標を参考にしましょう。
業務品質向上のため全日本物流改善事例大会への参加を目標とする
各業務のチェック体制の強化や現場スタッフへの教育など、多くの物流会社が業務品質向上のための方策に追われていますが、取り組みの効果を上げるためには具体的な目標設定が不可欠です。
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会では毎年、物流現場改善のための具体的な取り組みを募集していて、そのなかから優秀な改善事例を30社分「全日本物流改善事例大会」で発表しています。こうした大会などへの参加を目標とすることで、社員のモチベーションを高め、日頃の業務品質向上に関する取り組みを後押ししてくというのも方法のひとつといえるでしょう。
業務の品質維持はどの企業においても重要な取り組みのひとつです。さまざまなコスト削減をしながら品質を維持していくためにも、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。