物流におけるピッキング効率を向上させる方法
物流管理において「コストダウン」は重要なテーマのひとつです。コストを下げるのに有効な方法のひとつが生産性向上、つまり作業効率を上げることです。今回は、多岐にわたる物流センターの業務のなかからピッキングに注目し、その作業効率を上げるための方法を詳しく解説していきます。
ピッキング効率向上を図る上での指標とは?
「ピッキング作業」というのは、出荷指示(受注)に対して、該当する商品を倉庫などから選び出すことで、物流業務のなかで最もアナログで負担の大きい業務です。物流業務における生産性を向上させるためには、ピッキング作業の効率化が重要な鍵だといわれています。
では、ピッキング作業が効率よく行われているかどうかはどのようにして判断すればよいのでしょうか。その基準になるのが「ピッキング効率」と呼ばれる作業効率指標です。ピッキングを担当するスタッフが一定時間内にピッキングを行う伝票の枚数のことで、「出荷データ行数÷ピッキング時間」で算出することができます。
また、エリア別の生産性を判断する指標として「エリア別出荷効率」というものもあります。センター、倉庫内のエリア(ゾーン)ごとの出荷数量をあらわすもので「出荷データ行数÷エリア別投下人員」で算出することが可能です。
ピッキング業務効率化の手法
物流業務のなかでも最も負担が大きい「ピッキング」の効率化は、物流業務の生産性を向上させるために不可欠です。では、具体的にはどのようにして効率化を図ればよいのでしょうか。具体的な手法を下記で紹介していきます。
ピッキング動線の見直し
ピッキングの流れは、1.棚へ移動→2.棚から商品を探す→3.棚から商品を取り出す→4.出荷エリアに移動、この4つの動作の繰り返しです。当然のことながら、1〜4それぞれにかかる時間を短縮することで作業効率は向上します。たとえば、歩く時間を短くする、探す時間を短くする、商品を取り出す時間を短くする、出荷エリアに移動する時間を短くする、そういったことを実行することで、全体の作業スピードがUPします。
特に「移動時間を短くする=無駄な動きをなくす」ということが重要です。効率のよい動線で倉庫内がレイアウトされていることが大切というわけです。
業務マニュアルの策定
業務を行うスタッフが個々に自分たちのやりやすい方法で作業を進めていると、作業効率の低下やミスの原因となります。そこで働いている全員が同じ手順と方法で作業をするために、業務マニュアルを策定して共通理解することが大切です。
スタッフへの負担が少ない労働環境の整備
作業をする人へ負担がかからないモノの配置、安全に作業するための器材の準備、休憩時間にしっかりと体を休ませることができる休憩室の設置、適切な明るさの照明や作業しやすい空調管理、必要な時間にしっかりと休みがとれるシフト管理など、スタッフが快適に働ける環境の整備も、作業効率化につながります。
物流センターでの出荷作業は複雑な手続きが多数発生します。人の手による作業が多いピッキングは特に負担が大きいため、上記を参考にして効率化を検討することをおすすめします。