物流にかかるコストの種類とは?
物流コストというのは企業にとっての大きな経費のひとつで、利益を出すためにコストカットの対象とすべき部分でもあります。ところが、月々どれくらいの物流コストがかかっているのかを正しく把握できていない企業は珍しくありません。
なぜなら、物流コストはほかの経費と比べるとその仕組みが複雑で、「支払った物流費=物流コスト」ではないからです。そこで今回は、物流コストを正しく算出するために理解しておくべきコストの種類について詳しく解説していきます。
支払物流コストとは
「物流コスト」のうち、外注先(物流会社)に支払っている輸配送費、借りている物流倉庫などの費用、流通加工費などの合計のことを「支払物流コスト(支払い物流費)」といいます。
このコストは経理や財務の数字、請求書などをもとに簡単に算出することができ、多くの企業が物流コストを削減する際に対象としている部分です。
社内物流コストとは
支払物流コストに対して、社内で発生する物流コストの総称を「社内物流コスト(社内物流費)」と呼びます。物流責任者や受注入力を行うアルバイトの人件費をはじめ、在庫管理、検品、梱包、出荷、配車、返品回収・処理といった業務に対する人件費、営業マンが物流業務を行った場合の人件費などもその対象です。
社内物流コストは支払物流コストのように請求書や財務の数字から導きだすことができるものではなく、実際に物流業務に費やした時間を管理して算出する必要があります。
たとえば、営業担当者が受注業務を兼務している場合、そのコストは営業コストとしている企業がほとんどですが、実際にはその営業担当者が受注業務を行っていた時間に対する人件費は物流コストとして考える必要があります。
つまり、社内物流コストの人件費を割り出すには、該当人員の人件費に対して、物流業務に従事した時間の割合を按分し、算出しなければなりません。
こういった社内物流コストの存在こそが、多くの企業が物流コストを正しく把握するのを難しくしているといえるでしょう。社内物流コストの計算はかなり手間がかかるものの、実際に算出してみると、支払物流コストと同等のコストがかかっていることがわかるケースも多くあります。
「物流コストの削減」というと、これまでは支払物流コストの削減を意味していましたが、「社内物流コスト」の削減にも着手すべきだといえるでしょう。具体的な削減方法としては社員教育による業務効率化、もしくは物流業務そのものをアウトソーシングしてしまうのもひとつの手でしょう。
上記で紹介した「支払物流コスト」と「社内物流コスト」を合算したコストは「物流トータルコスト」と呼ばれています。これらのコストをしっかり把握することにより、物流コストの最適化を図ることにつながっていくでしょう。