輸入リスクを最小限に! 確認しておきたい保険の種類
貿易取引をする際には、保険をかけることになります。輸送中に商品へ破損や損壊があった場合に保障を受けるために、保険をかけるのです。長い輸送は商品に対してダメージを与える可能性がありますし、予期せぬトラブルなども考えられます。そこで今回は、貿易をする際に加入する保険の種類とその概要についてお話しします。
無保険はダメ!
貿易時の保険料は決して安くありません。しかし、余計な出費をしたくないからと言って、無保険にするのはやめておきましょう。貿易には多くの人の手が掛かり、時間も掛かります。輸入者が手にするまでに、悪条件にさらされることも珍しくありません。取引の中でも貿易取引は比較的リスクが高い取引になりますので、保険には必ず入りましょう。
どんな種類がある? 貿易時にかける保険の種類
輸入取引で必要な保険と言えば、主に
- 貨物保険(外航貨物海上保険)
- PL保険(生産物賠償責任保険)
になります。どちらも入っておきたい保険ですが、特に貨物保険には必ず入るようにします。
貨物保険(外航貨物海上保険)の担保の種類
輸送中の船上の損害である海上保険を担保にしているのが貨物海上保険になり、貨物海上保険は、適用される保険にいくつか種類があります。
単独海損分損担保(WA)
輸送中の荒天による水濡れをカバーしてくれます。
単独海損分損不担保(FPA)
水濡れはカバーされません。荷物の積み込みや荷卸しなどの最中の損害は、梱包1個ごとの全損が担保されます。
オールリスク担保(A/R)
全ての損害をカバーします。しかし、ストや戦争などではカバーされません。荷物の積み込みや荷卸しなどの最中も、問題なく全て保障されます。
なお、沈没や火災、座礁による貨物状態などは全ての種類の保険で適用されることになっています。
知っておくと安心! 輸入取引の際の保険知識
では、輸入取引をする際に知っておくといい、保険のあれこれを見ていきましょう。
- 保険は、基本戦争やストなどは保障されないので、別の契約か特約として契約しておきましょう。
- 保険証券に記載されてない状況では保険金は支払われないので、商品の状況や運送などの把握した上で本契約するようにしましょう。
- 貨物海上保険は自由料率で、同じ貨物でも会社によって保険料が異なることがあります。そのため、複数の会社から見積もりを取って選ぶことができます。
- リスクが高い場合には、一般の保険商品と同じように、保険会社が引き受けてくれないことや金額が高くなることがあります。
一体いつ? 保険を決める時期について
保険に入るタイミングは早めがいいのですが、契約直後では船便や日付けが決まっていることはまれですので、本契約はできません。そんなときには、予定保険に入ることになります。仮契約をしておいて、船便や出港日が決まった段階で確定保険になります。料金は確定保険になってから支払います。予定保険には2種類あります。
個別予定保険
輸入のたびに申し込みます。
包括予定保険
一定期間内の輸入物に対しての保障を、事前に一括して申し込む保険になります。継続的な輸入ならばいちいち予定保険に入る必要がなくなり、確定保険を報告するだけで済みます。
何をカバーしてくれる? PL保険
PL保険は、商品によって消費者に不利益(事故、怪我など)をもたらした場合に、損害賠償を請求できるというPL法をカバーする保険です。保障内容としては、賠償金や訴訟費用などの補填になります。
この保険に入ることももちろんですが、リスク軽減の方法として、輸出者との契約書の中に、商品が原因で問題が起き、裁判になった場合には、リスクを背負ってもらうという項目も盛り込んでおきましょう。
貿易に保険は欠かせないことがお分かりいただけたでしょう。保険に関して疑問のある方や保険の種類にお悩みの方は、上記を参考にしてみてください。